基本手技シリーズ・18
後腹膜アプローチによる腹腔鏡下大腸切除術—特に前方切除術について
山田 英夫
1
,
落合 武徳
2
1国立佐倉病院外科
2千葉大学医学部第2外科
pp.541-543
発行日 2000年12月15日
Published Date 2000/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.4426900189
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はじめに
腹腔鏡下大腸切除術における後腹膜アプローチ法は,PDB II(腹膜剥離用キドニー型バルーン)を用いて後腹膜腔に人工的に腔を作製し,後腹膜腔から支配血管にアプローチする方法である.
この方法は,以下の利点がある.(1)バルーンにより一気的・瞬時に後腹膜腔の作製が行える,(2)バルーンでの剥離後,炭酸ガスを流入し後腹膜腔を保つが,ガスにより層が拡大されて剥離操作が容易となる,(3)剥離する後腹膜の層を正面に見るために容易に剥離層を確認できる,(4)剥離層の観察方向と操作方向が一致するため,剥離操作にミスがない.そして,この操作を優先して行うことにより,①腸管授動を一気的に,短時間に,容易に行うことができる,②腸管による視野の妨げがなく,良好な視野を保つことができる,③尿管,支配血管の露出をまず初めに行うことができる,④腫瘍への支配血管を最初にクランプできる,⑤腫瘍および腸管をさわらずに操作でき,腸管の損傷の危惧がない,⑥腸管に対するCO2の露出時間が短い.
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