手術テクニック
心タンポナーデに対する胸腔鏡下心膜開窓術
白石 武史
1
,
川原 克信
1
,
白日 高歩
1
1福岡大学医学部第2外科
pp.368-370
発行日 2000年8月15日
Published Date 2000/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.4426900159
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
癌性心嚢炎による心タンポナーデに対しては,剣状突起下あるいは胸骨傍アプローチによる心嚢ドレナージ(穿刺)が行われてきた.通常はこの処置のみでタンポナーデは容易に解除され,患者は著しい心不全症状の改善を得ることができる.しかし,心嚢液産生の原因が播種した癌細胞によるため,産生量そのものは容易にコントロールすることができず,いったんドレナージを開始すると,これを抜去できない状態が生じ,癌終末期患者の退院を困難にすることが問題であった.
心膜開窓術は,癌性心嚢液を胸腔内に誘導して胸膜による再吸収を促し,外ドレナージを行うことなく,内ドレナージとしてこれをコントロールする方法として利用されてきた.この手技に胸腔鏡を利用することは手術侵襲の軽減という点で特に有用であり,癌末期として全身状態も徐々に不良になりつつある患者にとっては,きわめて有用な手術オプションと考えられる1,2).われわれは,当該症例に対してこの方法を治療の第一選択として利用してきた.
Copyright © 2000, JAPAN SOCIETY FOR ENDOSCOPIC SURGERY All rights reserved.