特集 小児悪性腫瘍に対する内視鏡下手術
〔エディトリアル〕特集によせて
平野 敬八郎
1
1東邦大学医学部第1外科
pp.498-499
発行日 1999年12月15日
Published Date 1999/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.4426900078
- 有料閲覧
- 文献概要
Minimally invasive surgeryを追求する視点からみれば,低侵襲で,創が小さく,醜形を残さずに手術ができる内視鏡下手術はその目的に合致した素晴らしい手術法である.内視鏡下手術は今日急速な発展をとげ,成人ではあらゆる手術に適応が試みられており,施設によっては全手術の1/4〜1/3が既に内視鏡下手術に置き換わったといわれている.すなわち,胆嚢摘出術や脾臓摘出術などの良性疾患はもちろんのこと,悪性腫瘍でも早期胃癌に対する幽門側胃切除術や大腸癌に対する結腸半切除術ならびに全切除,さらに膵癌に対する膵頭十二指腸切除術や肝癌に対する外側区域切除術などが積極的に試みられている.しかし,悪性腫瘍に関しては根治性,腫瘍細胞の腹腔内播種,内視鏡挿入部の腫瘍細胞の転移などの問題で,一般的にはまだ完全に市民権が与えられているとはいえない状況である.
一方,小児の内視鏡下手術は,小児疾患の特殊性,解剖学的および生理学的特殊性より安全性が危惧され,その臨床応用は成人に比して遅れがちであった.しかし,1991年,Holcomら1)による胆嚢摘出術の成功を契機に急速に導入の気運が高まり,そののち急速な進展をとげた.今日では胆嚢摘出術はもちろんのこと,脾臓摘出術,噴門形成術,幽門筋切開術,ヒルシュスプルング病根治術,虫垂切除術などと成人に劣らない広い適応疾患を有するに至っている2).
Copyright © 1999, JAPAN SOCIETY FOR ENDOSCOPIC SURGERY All rights reserved.