特集 胸腔鏡・腹腔鏡による新しい診断へのアプローチ
〔エディトリアル〕特集によせて
白日 高歩
1
1福岡大学医学部第2外科
pp.440
発行日 1998年12月15日
Published Date 1998/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.4425900232
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今日,以前では考えられなかったほど多くの胸腔内,腹腔内病変に画像診断技術が応用され,われわれは多大の恩恵を受けるようになった.しかしCT,MRI,超音波診断など,これらはいずれも病変の正確な部位的,量的診断は与えてくれても,決定的な質的診断の提供については不可能なのが実情である.ここでいう質的診断とは肉眼像,さらに組織所見といった直接的な診断根拠を指すことから,上記のような画像による診断はあくまでも推測診断の範疇に属するものである.
さて,従来より直接的な診断根拠を得るためには,何らかの方法による病変の組織採取が必要とされてきた.もちろん管腔臓器,例えば胃,食道,大腸のような消化管,あるいは気管,気管支といった気道内腔病変は内視鏡下の観察と生検が可能であるが,それ以外の実質病変については超音波ガイド下,透視下,その他の方法による組織生検を主体としてきた.しかしそれらは肉眼所見を介さない生検であり,その点では不確実性があり,また多大な危険性をともなうものでもあった.
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