特集 泌尿器科領域の腹腔鏡下手術の新しい展開と進歩
〔エディトリアル〕特集によせて
東原 英二
1
1杏林大学医学部泌尿器科
pp.114-115
発行日 1999年4月15日
Published Date 1999/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.4426900013
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“泌尿器科領域の腹腔鏡下手術の新しい展開と進歩”と題して,今回の特集に取り上げた腹腔鏡下手術には,決して新しくないものも含まれている.理由は,本邦では保険診療で許可されていない手術を行うには,自費か高度先進医療の許可を得なければ行うことができないという制約があり,そのことを念頭において,特集に選択したものも含まれているからである.泌尿器科領域で,腹腔鏡下手術に採用されているものには,腎・副腎の良性疾患に対する摘除術,精索静脈瘤切除術があるのみである.保険採用されていなければ,患者にとって侵襲が少なく,目的が達成される手術であっても,必ずしも普及するとは限らない面がある.逆に,腹腔鏡下手術とは関係がないが,保険採用され営利上有利であれば,効果に疑問がある場合でも一部医療機関では盛んに行われるということも現出する.
悪性腫瘍を腹腔鏡下手術で治療するには,ある程度の症例の集積とその長期経過観察が不可欠である.その意味では,高度先進医療の許可をとり,複数の施設においてrandomized prospectivecontrolled trialを行うことが必要な時期に来ていると考えられる.日本では,医療環境からこの種のtrialの困難な面もあるが,よりよい治療の実現のために実施し,結果がよければ保険にも取り上げてもらい,広く普及するように努力をすればよいことになる.
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