特集 肺気腫・肺嚢胞に対する胸腔鏡下手術
〔エディトリアル〕特集によせて
白日 高歩
1
1福岡大学医学部第2外科
pp.183-184
発行日 1997年6月15日
Published Date 1997/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.4425900101
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今日,胸腔鏡は種々の呼吸器疾患の診断,治療に応用されている.診断面については,胸腔内病変および肺末梢性病変の多くのものに胸腔鏡による生検組織診断が可能となった.また治療面については,嚢胞性肺疾患,特に自然気胸への応用が確立し,そのほかの疾患についても種々の利用法が開発されている.本号では特集として,「肺気腫・肺嚢胞に対する胸腔鏡下手術」を取り上げ,自然気胸,巨大肺嚢胞,肺気腫などについて,それぞれの分野のエキスパートにup to dateな成績と今後の展望を記述していただいた.
自然気胸に関して私見を述べると,今日では胸腔鏡が最も高頻度に適用される疾患であることはいうまでもない.本疾患は若年者に偏って発症することから,従来のような腋窩部縦切による開胸手術は美容上も好ましくなく,胸腔鏡手術は現時点でfirst choiceに選択される治療法となりつつある.ただ,筆者らの調査では,初回の気胸発症時より胸腔鏡治療を行う施設と従来通り初回は胸腔ドレナージによる持続吸引を行い,2回目以降に胸腔鏡を応用する施設の差があるようである.
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