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例年のように本号は「内視鏡外科手術に関するアンケート調査」特集号である.これは前身の内視鏡下外科手術研究会による1991年の第1回調査以来,2年ごとに調査実績を重ね,今年の調査で第12回を数えるようになっている.最初の3回を万代恭嗣現理事が担当し,他に類を見ない事業の先鞭をつけられた.小生は4回より10回までを,そして最近の2回を山下裕一理事が担当し,本会の重要な事業として継続している.小生が担当以来,実務を担当している現大分県立病院板東登志雄外科部長に誌面を借りて謝意を表したい.この調査は言うまでもなく腹部外科領域はもとより,小児外科,呼吸器外科,産婦人科,泌尿器科,整形外科,形成外科などの全10領域を網羅しており,このような各科横断的なアンケート調査は世界的にも類を見ないアンケート調査となっている.
内容をみると,今回の調査では,全国の1,380施設より回答を得て(回答率48.4%),直近の2年間に行われた33万例のデータを集計し,総計では1990年以降これまでの調査で164万例が集計されるに至っている.2011年からNCDによる症例登録が開始され,内視鏡外科に関するデータが広く集積されるようになったが,本アンケート調査はわが国における内視鏡外科の黎明期から現在に至る手術症例数の推移や手術適応の変遷,合併症の発生状況やその対処法などを明らかにする調査であり,多方面にわたって有用な資料となっている.症例数の増加が著しいのは大腸癌に対する手術症例で,前回調査に比べ24%増の37,951例である.その内訳では早期大腸癌の症例数に大きな変化がない中,進行大腸癌の症例数の大幅増(21,000例から27,000例へ増加)があり,これが大腸癌全症例数の増加につながっているようである.
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