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本誌の発行などを通して安全な内視鏡外科医療を国民に提供することが本会の大きな責務の一つです.2004年に発足した技術認定制度の成功が折に触れ国内外から高い評価を得ているのも,未編集ビデオを匿名化して公平に評価する世界に誇れる制度を確立できたからです.今年度の技術認定試験の合格率は,十分な経験のもとベストビデオを提出していただいたはずであるにも関わらず,依然30%と最難関の試験です.それは地域と専門領域における指導者としての知識と安全な技術が要求されるからです.合否の判定は,難手術に挑戦するスーパードクターを求めているわけではなく,いかに安全で理にかなった標準的な手技を行っているかを審査員に伝えるかにかかっています.この認定証取得者こそ真の意味での専門医であると考えています.もともと専門医の概念は一般的に「5年間以上の専門技術研修を受け,資格審査ならびに専門医試験に合格して,学会等によって認定された医師」とされています.
わが国における専門医整備に関わる活動としては,1981年の“学会認定医制度協議会”に始まります.その後,紆余曲折があり2001年,“専門医認定制協議会”と名称が変更された後,突然2002年に厚生労働大臣告示「専門医広告に関する基準手続き等」いわゆる外形基準9項目が提示され,これを満たせば専門医として広告できることとなった経緯があります.本会は2010年をもって一般社団法人となり研修機会の整備と手続きを踏めば,いずれも専門医を認定できることになりました.しかし,評議員会総会で報告の通り,世界に誇れる技術認定をいろいろな学会が認定している多くの専門医と同列のものではなく,“より特色のある技術認定に基づいた新たな認定と専門医”の公的認定が可能かどうか,担当部局と現在やり取りしている最中です.本格的な認定には法律の改正など,大きな壁があるのも事実ですが,不可能を可能にするつもりで何とか乗り越え,早急な技術認定の公的認知と診療報酬への反映を求めていきたいと考えています.会員諸氏のご支援とご協力を切に願っています.
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