編集後記

　最新の学術情報を得るには，従来，雑誌購読あるいは図書館での閲覧が必要不可欠な方法であった．　図書館といえば70万巻もの蔵書を誇ったアレクサンドリア図書館が思い浮かぶ．　これは紀元前300年頃，エジプト，プトレマイオス朝のプトレマイオス1世によって世界中の文献を収集することを目的として建設されたものであるが，これだけの書物を集める方法の逸話として知られているものがある．当時のアレクサンドリアに入港した船は，積荷の書物をすべて一旦没収の上で保存価値ありと認めた場合に，写本を作成して（チャッカリ）原本の代わりに持ち主に戻し，同時に対価が支払われたとされる．そのように膨大な努力により蓄えられた蔵書も，その後の，虫害や火災によってほとんどは，灰燼に帰した．

　翻って，この10数年の情報化の時代にあって，データの永久保存と活用のため，学術雑誌の電子化が世界の趨勢となった．　本誌も多くの読者からの要望に応える形で，2012年1月に電子ジャーナル化を行った．配信に当たっては医学書院の電子ジャーナルサイト（MedicalFinder）を利用しており，学会ホームページの会員限定ページからアクセスすることで，無料で閲覧できるようになっている．