特集 進行大腸癌に対する腹腔鏡下手術―新たなる展開
〔エディトリアル〕進行大腸癌に対する腹腔鏡下手術
北野 正剛
1
1大分大学医学部第1外科
pp.45
発行日 2008年2月15日
Published Date 2008/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.4426100145
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わが国に内視鏡外科手術が導入され,早15年を迎えようとしている.この間,内視鏡外科手術は,消化器外科領域をはじめ呼吸器,婦人科,泌尿器科領域において良性疾患はもちろん,悪性疾患に対しても急速に普及を遂げてきた.その中でも,大腸癌に対する腹腔鏡下手術は,悪性疾患の中では最も施行数が多く,本学会の第8回全国アンケート調査結果(2006年報告)によると,2005年までに施行された症例数は26,818件を超え,2005年の1年間では5,259例に及んでいる.特筆すべきは,全大腸癌症例の中で進行癌の割合が6割を占めるに至ってきたことである.大腸癌の分野では,もはや進行癌は腹腔鏡下手術で治療を行って問題ないのであろうか.
2002年2月に本誌の特集に「大腸癌の腹腔鏡下手術」が初めて取り上げられ,今回,6年ぶりに大腸癌に関するテーマを掲げることとなった.その背景には,本領域にこの6年間で実にさまざまな学術的,技術的進歩が示されているからである.具体的には,2002年の進行癌も含めた保険収載の拡大を皮切りに,厚生労働省班研究による多施設共同後向き試験,さらにその結果を受けて,厚生労働科学研究班による進行結腸癌を対象とした開腹手術と腹腔鏡下手術の多施設共同ランダム化比較試験(JCOG 0404)の開始,腹腔鏡下大腸切除研究会による後向きおよび前向き直腸癌プロジェクト研究の実施,技術認定制度の発足,内視鏡外科ガイドライン作成,さらに講習会やセミナー,企業とタイアップした各種アニマルラボなど,各施設や地域はもちろん,学会レベル,そして国のレベルでのひたむきな取り組みがあったからに他ならない.
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