Conventional lnstruments
ハーモニック・スカルペル
北野 正剛
1
1大分医科大学第1外科
pp.63
発行日 1997年2月15日
Published Date 1997/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.4425900089
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ハーモニック・スカルペルは,超音波振動を利用した手術器械で,本器具本体から出力した電気エネルギーをハンドピース内に内蔵したトランデューサーにより超音波振動に変換し,この超音波振動がハンドピースに接続されたブレードに伝達され,ブレード先端のアクティブブレードが55,500Hzで振動することにより,蛋白質の変性による低音での凝固と人体の軟組織の正確な切開を同時に行うことができる.この切開と凝固の作用は,電気エネルギーを直接人体に伝えることなく,また,100℃未満の非常に低い温度で発生するため,組織の熱損傷が少ない.特に側方への熱損傷は従来の電気メス,レーザーと比較して画期的に減少し,同時に非常に高度な止血効果を得ることができる.本器具の使用により正確な術中操作を行うことが可能になり,組織損傷が減少し,出血量の減少および手術時間の短縮が可能となる(表).なお,本器具と同等の原理,効果をもつ手術機器は現在市場に存在しない.
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