特集 腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術
各論文に対するコメント
森 俊幸
1
1杏林大学医学部・第1外科
pp.322
発行日 1996年8月15日
Published Date 1996/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.4425900045
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●三浦論文に対して
本論文では25歳以上の内外鼠径ヘルニアおよび大腿ヘルニアすべてをLH(laparoscopic hernioplasty)の適応としているが,LHを合理的手術とした根拠が示されていない.この適応によると,Marcy法にて修復可能なものも対象となることとなる.やはりLHの適応はNyhus分類に従い選択されるべきであろう.また,将来的にはMarcy法やiliopubic tract repair,さらにはLichtenstein法,plug and mesh法などとの比較検討により適応を決定すべきものと考える.
本論文では,メッシュの大きさに関しては具体的記載がないが,図4から推察されるサイズは適切なものであろう.本文中では「メッシュを下腹壁動静脈の前面に当て」とあるが,図ではその後方に位置している.下腹壁動静脈は本来,前腹壁に沿って走行しているので,これを腹壁側につくように剥離を進め,これの後方よりメッシュを当てるのが妥当であろう.
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