特集1 救急医療のリベラルアーツ 救急部門:使命と収益のハザマ
2.先駆的な外傷センターがとった戦略,経営に与えたインパクト
井口 浩一
1
Koichi INOKUCHI
1
1埼玉医科大学総合医療センター 高度救命救急センター/外傷センター
pp.496-501
発行日 2024年4月25日
Published Date 2024/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3105200124
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日本の救急医療システムに,外傷センターが組み込まれていないことによる弊害は潜在化している。交通事故死者数の減衰が著明で,若年者の重症外傷が減っていることが逆に災いして,外傷センターの必要性を国民に呼びかけても響きわたることはない。
しかし,国民に提供する外傷診療の質を維持・担保するためには,24時間365日にわたって緊急外傷手術が可能な体制が必要となる。さらに働き方改革を見据えた場合,このような体制を確保するためには「重症外傷患者の集約+医師の集約」の実現が不可欠である。病院経営の観点からいえば,整形外科外傷の手術件数が鍵を握る。
本稿では,上記集約化に至った当院外傷センターの戦略と,病院経営に及ぼしたインパクトについて解説する。残る課題にも触れるが,外傷センターの制度化に関心のある読者だけでなく,経営や運営に興味をもつ方々の参考になれば幸いである。
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