特集1 救急医療のリベラルアーツ 救急部門:使命と収益のハザマ
1.最後の砦としての救急部門の「使命」と「採算」は両立しうる!
中村 光伸
1
Mitsunobu NAKAMURA
1
1前橋赤十字病院 高度救命救急センター
pp.490-495
発行日 2024年4月25日
Published Date 2024/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3105200123
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高次の救急医療を担う救命救急センターは三次救急医療機関として,地域の救急医療の最後の砦としての役割が期待されている。そのため,警察や消防と同様,「地域にとって不可欠な公共サービス」と位置づけられるため,運営に関わるある程度の不採算はやむを得ないという認識がある。
また救急医療従事者側も,本来の使命である「救命」を優先する余り,「採算性」をあまり省みずに医療を行う傾向があることは否めない。地域の中核となる救命救急センターが,質の高い医療サービスを提供しながら存続するためには,健全な財政基盤を築き適切な病院経営を確立することが重要である。
採算性を上げるためには,施設の損益構造を正確に把握し,経営上の問題点や改善点を見いだすことが必要である。現在,DPC*1の導入により診療には効率化が求められており,在院日数の短縮化,それに伴う病床利用率の低下が発生するため,新規入院患者の獲得など医業収益を上げるために病院全体として取り組む必要がある。本稿では,収益向上の策とそのための指標,さらには組織成長の副因子にまで迫る。
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