特集1 救急医療のリベラルアーツ 救急部門:使命と収益のハザマ
3.ドクターカーの「収益性」と「持続性」から見た課題とソリューション
田口 茂正
1,2
,
八坂 剛一
1
,
清田 和也
3
Sigemasa TAGUCHI
1,2
,
Koichi YASAKA
1
,
Kazuya KIYOTA
3
1日本赤十字社さいたま赤十字病院 高度救命救急センター・第一救急部
2日本赤十字社さいたま赤十字病院 高度救命救急センター・集中治療部
3日本赤十字社さいたま赤十字病院
pp.502-509
発行日 2024年4月25日
Published Date 2024/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3105200125
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病院前診療にはさまざまな形態が存在するが,救急患者に対して展開されるドクターカーやドクターヘリを用いた診療を「病院前救急診療」と呼ぶ。比較的導入しやすいドクターカーに参入する医療施設が近年,増加している。当院が継続的に運行して得た見解は,ドクターカーの健全運行,健全経営,そして持続的運行は決して容易いものではなく,病院の宣伝のために実施する代物ではないということであった。自治体が事業主体であるドクターヘリには多額の補助金が投入されるが,ことドクターカーへの金銭的補助は必ずしも充実しておらず,基本的には運行施設の努力によって継続されているのが実情である。
本稿では,救急医を目指す若手医師や,これからドクターカー導入を目指している救急医療施設を対象に,その継続運行における重大な課題と解決策を,先行実施施設として共有する。本稿を通じて,ドクターカーは手段の1つにすぎず,広告塔でも収益増加装置・患者集約化装置でもなく,真摯に救急患者の予後改善につなげることだけを考えている施設のみが,有益かつ継続的運行を行えるということを伝えたい。
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