特集2 ERスタンダード 外傷—非外傷医でも,ここまで迫れる! ここまでできる!
【Part 2】モヤモヤ事へのアプローチ
4.外傷患者の上手な気道管理—気道緊急も想定した対応力・判断力を身につけよう
光銭 大裕
1
Daiyu KOHSEN
1
1東京都立多摩総合医療センター 救命・集中治療科
pp.424-431
発行日 2024年1月25日
Published Date 2024/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3105200109
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救急診療のABCDEアプローチにおいて,A(気道),B(呼吸),C(循環),D(中枢神経)の異常それぞれに確実な気道確保,すなわち気管挿管の適応となる病態がある。気道であれば持続する口腔内出血,呼吸であれば低酸素血症,循環であれば遷延するショック,そしてGCS*1 8点以下もしくは脳ヘルニア徴候などの切迫するDである1)。ABCDのどれも挿管適応には合致しないが,不穏で診察や検査などができない場合や,予測される経過(緊急手術が必要となるなど)を考慮して,挿管を行うこともある。
特に外傷患者では,頸椎の伸展ができなかったり,顔面外傷により声門が目視できないなど,外傷特有の状況に応じた対応・判断が求められ,輪状甲状靱帯(間膜)切開が必要となることもある。そこで本稿では,筆者の経験もふまえ外傷患者の気管挿管について要点を整理したのち,輪状甲状靱帯切開のコツや管理の注意点を解説し,口腔内/鼻出血の制し方についても言及する。
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