特集1 救急医療のリベラルアーツ 働き方改革の本質と戦略
【Part 2】救急医が子を産み,育てるとき
11.同僚や部下の産休・育休取得:管理者からみた留意点
岩田 充永
1
Mitsunaga IWATA
1
1藤田医科大学病院 救急総合内科
pp.78-81
発行日 2022年11月25日
Published Date 2022/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3105200014
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かつて医師は,“お声がかからなくなったら,仕事がなくなる”プロスポーツ選手や音楽家などと同じ求道者と見なされ,産前産後休業(産休)・育児休業(育休)とは無縁の世界で生きてきたと考えられる。
しかし,我々はいまや,医師は労働者であることが明確な時代に生きている。管理職にとって,自分が経験したことがないことを部下に推奨するのは勇気が要る。多くの管理者にとって,同僚や部下の産休・育休取得もこれに該当するのではないか。筆者は管理職に就くずっと以前に,恩師から「自分や家族を大切にできない医師が患者を大切にできるわけがない」という言葉を教わった。そのおかげで,管理者になってからも,産休や育休の取得に対して抵抗感がなかったことには心から感謝している。
筆者の勤務する組織では,約50人の仲間で大学病院のER・ICU・総合内科病棟および2つの分院のERを運営している。筆者が運営責任者となってからの7年間で,仲間には23人の新しい生命が誕生した。男性医師の育休取得率89%,育休取得期間2〜6か月である。本稿では,ERを管理する立場から,これまでの経験と現行の法律を通して,今後のER運営方針について考えてみたい。
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