やさしい目で きびしい目で 43
産休,育休(1)
外園 千恵
1
1京都府立医科大学
pp.1245
発行日 2003年7月15日
Published Date 2003/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410101335
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世間では育児休暇という言葉が当たり前に使われるようになり,わが京都府立医大眼科でも育児休暇を取る医師がボチボチ出てきました。私が長男を出産した14年前には,産休をとる医師もまだ少なく,「育児休暇」なんて考えもできない状況でしたから,随分と社会風潮も変わってきたなと感じます。
これまで10数年,医局の後輩が産休をとることに大なり小なりかかわってきましたが,ある一定の法則があることに気付きました。社会性の高さというものが,出産というイベントを通して露見するということです。その医師が仕事をどのように自分のなかで位置づけているか,どれだけ社会人として一人前であるか,が出産を機に出てしまうのです。研修医時代にとても真面目で仕事ができても,驚くほどに社会性がなく,自己中心的であることがわかることがあります。無事出産できたことを医局に連絡もせず,ひどい場合には産後6週を過ぎても何の連絡もないことがあります。無事の出産を上司というのは願っており心配しています。またいつから復帰できるかは,留守の間をやりくりしている身には大変重要です。そんな事情が,出産する側に見えていないということがあるのです。片や,そんなに仕事はできなくとも出産後に,母子ともに健康で順調であること,予定通りに復帰できるということ,産休をとっていることのお詫びと感謝を知らせてくる人もいます。どちらの医師に社会性が高いかは誰が考えても明らかです。
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