別冊春号 2023のシェヘラザードたち
第7夜 エコーを使ったからといって安全ではない!—何かが違う:ガンツ誤穿刺
三浦 大介
1
1佐賀県医療センター好生館 麻酔科
pp.35-39
発行日 2023年4月24日
Published Date 2023/4/24
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3104200327
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
近年,超音波画像診断装置(エコー)の進歩により,日常診療においてエコーは欠かすことのできないものとなっている。なかでも中心静脈カテーテル挿入に関しては,日本麻酔科学会から『安全な中心静脈カテーテル挿入・管理のためのプラクティカルガイド2017』1)が出され,エコーガイド下に行うことが標準となって久しい。実際,多くの麻酔科医が,エコーガイド下に中心静脈カテーテル挿入を行っているだろう。私もこれまでに多くの症例で,エコーガイド下に中心静脈カテーテル挿入を行ってきた。
確かに,エコーガイド下に中心静脈穿刺を行うことで合併症が少なくなるのかもしれない(表1)。しかし,現在も動脈誤穿刺や気胸などの重篤な合併症は,手術室のみならず,救急やICU,心カテ室など院内のさまざまな場所で発生しており,合併症が完全になくなったわけではない。なぜだろうか? エコーで見えているはずなのに…。
今夜は,私自身がこれまでに経験した中心静脈穿刺による合併症と,そこから学んだこと,そして,絶対に合併症を起こさないために日々心掛けていることについてお伝えしたい。
Copyright © 2023, MEDICAL SCIENCES INTERNATIONAL, LTD. All rights reserved.