別冊春号 2023のシェヘラザードたち
第2夜 信じるか,信じないかはあなた次第—暗闇に潜むCVCIの恐怖
岡野 龍介
1
1インディアナ大学 麻酔科
pp.7-11
発行日 2023年4月24日
Published Date 2023/4/24
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3104200322
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皆さんは気道確保は得意ですか? 麻酔科医たるもの,気道確保は院内の誰よりも上手なはず,と自負していますよね。研修医のうちは,「いい患者」に当たれば挿管はすんなりとできるけれども,「難しい患者」に当たると挿管にてこずり,指導医にあっさり挿管されて悔しい思いをする,ということもあります。それでも経験を積むと,やがて挿管にてこずるなどということは,本物の挿管困難症例以外はほとんどなくなってきます。
いみじくも,私の先輩指導医は「麻酔科が気道確保が上手なのは,外科医が糸結びが上手なのと一緒で,仕事をするうえでは当たり前の技術。そんなことでいい気になっていてはいけない」とおっしゃっていました。
CVCIとはCannot Ventilate, Cannot Intubate,すなわち,換気もできなければ挿管もできない事態のことを指します。日常的に患者に麻酔薬を投与して自発呼吸を止め,気道を管理している麻酔科医にとっては,まさに悪夢のような事態です。今夜は,私がこれまでに遭遇した二つのCVCIの経験と,そこから学んだことをお話しします。
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