別冊秋号 —麻酔科医なら知っておきたい—血栓症・塞栓症
PART4 静脈性血栓
24 心臓外科手術中の心腔内血栓症・肺血栓症
吉井 龍吾
1
,
小川 覚
2
1京都府立医科大学 麻酔科学教室
2京都府立医科大学 疼痛・緩和医療学教室
pp.179-183
発行日 2021年9月17日
Published Date 2021/9/17
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3104200241
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心臓外科手術において,人工心肺からの離脱直後に心腔および肺血管に血栓が形成される致死的な病態が報告されている。発症がまれで詳しい病態は明らかとなっていないが,近年,これらの症例を解析することで危険因子やおおよその病態が推定されつつある。凝固と抗凝固,線溶と抗線溶のバランスが崩れやすい周術期に特徴的な背景が関与している。早期発見のためには経食道心エコー(TEE)が有用であり,プロタミン投与開始後は特に注意する。適切で安全な術中管理を行うためには,各種薬物や血液製剤の正しい知識の獲得と,止血異常と血栓症のバランスを考慮した麻酔管理が鍵となる。
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