特集 妊産婦死亡の現状と削減に向けた対策
各論
肺血栓塞栓症
前田 佳紀
1
MAEDA Yoshiki
1
1榊原記念病院産婦人科
pp.391-394
発行日 2023年3月10日
Published Date 2023/3/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000000823
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はじめに―肺血栓塞栓症とは
肺血栓塞栓症(PTE)とは肺動脈が血栓塞栓子により閉塞する疾患であり,その塞栓源約90%は下肢あるいは骨盤内の静脈で形成された血栓である。したがって,PTEと深部静脈血栓症(DVT)は一連の病態であり,静脈血栓塞栓症(VTE)と総称される。VTEの3大誘発因子はVirchowの3徴とよばれ,① 血流停滞,② 血管内皮障害,③ 凝固機能亢進である1)。妊娠期においては ① 子宮増大による左内腸骨静脈の圧排とそれに伴う左下肢優位の下肢静脈うっ滞,③ 妊娠初期から凝固機能亢進が生じる。
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