別冊春号 2020のシェヘラザードたち
第4夜 不器用で下手,慎重さにかける麻酔科医,そんな麻酔科医を守れるシステム作り
星 拓男
1,2
1筑波大学附属病院 茨城県地域臨床教育センター
2茨城県立中央病院 麻酔・集中治療科
pp.17-23
発行日 2020年4月10日
Published Date 2020/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3104200119
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グローブのような私の手を見て,器用そうだと言う人は皆無だと思う。実際,器用という言葉は私の対極にある。おまけに,慎重に物事を進めるということが性格上難しい。大学時代の同級生でもある妻が妊娠した際に,「帝王切開になったとしても,あなたには背中を刺されたり麻酔をされたりは絶対にされたくない」と言ったのも,単に大学時代に勉強をしてこなかった私を知っていたからだけではないと思う(まぁそう思うだろうなと納得はするものの,一応麻酔科医であったため,当時,一瞬はショックを受けた)。
しかし,そんな私も麻酔科医なので,日常的に静脈穿刺も硬膜外穿刺も麻酔管理も行う。そして,今や総会員数が13000人を超える日本麻酔科学会の会員である麻酔科医の中には,私のような不器用で下手,慎重さにかける麻酔科医が必ずいるはず。だからこそ,そうであっても患者にできるだけ不利益を与えない麻酔管理を行えるシステムを作ることが,もう若くないそんな麻酔科医の責務なのではないかと思う。
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