別冊春号 2020のシェヘラザードたち
第3夜 忘れられない新生児の気管挿管
堀木 としみ
1
1神奈川県立こども医療センター 緩和ケア普及室
pp.11-15
発行日 2020年4月10日
Published Date 2020/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3104200118
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私が柳田邦男氏の『最新医学の現場』(新潮社)を読んで「ペインクリニック」の存在を知り,麻酔科入局を決めたのが約30年前,小児麻酔をライフワークにして約20年が過ぎた。そして,人生半世紀を過ぎた今,緩和ケア専門医を取得するために研修中の身である。
振り返るといろいろなことがあった。もともと要領が悪く,貧乏くじを引くタイプであった。しかし,そのために得た経験は,今の自分を作る非常に貴重なものだった。自分で言うのも何だが,ずいぶん修羅場は潜ってきた。二度と経験したくはないが,経験してよかった。
時代が変わり,今の若い医師たちは守られている,そんな気がしてならない。指導する中堅医師は,何かが起こる前に対応してしまう。確かに,患者にとっては有害にならないと思う。が,指導される側は,そこで何が起こったのか,何が行われたのか気づかないことも多い。「身をもって」感じないとわからないこともある。そう考えると,私を指導してくださった先生方の懐の深さに頭が下がる。
ここに紹介する症例は,私の数多い経験のほんの一部である。細部の記憶は曖昧だが,「今の時代なら,今の自分なら」と思いながら振り返ってみたい。
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