別冊春号 2018のシェヘラザードたち
第八夜 切れねぇ麻酔科医は,ただの麻酔科医だ!?—私が救急をかじったワケ
鈴木 昭広
1
1東京慈恵会医科大学 麻酔科学講座
pp.47-54
発行日 2018年4月18日
Published Date 2018/4/18
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3104200008
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「結局最後は外科頼みかよ…偉そうに学会で教育講演して,セミナーでインストラクター指導までしている“気道の専門家”が聞いてあきれるナ…」
これがそのとき,自分自身に対して感じた大幻滅であった。宮崎アニメ,“紅の豚”の主人公ポルコ・ロッソの有名なセリフに,「飛ばねぇ豚はただの豚だ」というものがある。なんとなくその連想から,「切れねぇ麻酔科医は,ただの麻酔科医だ」というフレーズが頭をよぎった。そう,気管挿管技術を研究し,気道管理の学会講演で聴衆に持論を展開し,困難気道管理ハンズオンワークショップでブタの輪状甲状靭帯穿刺や切開を経験し,さらにそれを人に教え,何かあったら切るしかないですよ…と言い続けてきた自分。所詮,最後の最後は自分でメスを手にすることすらできず,外科医に救われるただの麻酔科医であった。
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