別冊秋号 血圧
27 病態から見る血圧—急性大動脈閉塞症
福島 紘子
1
,
能見 俊浩
1
1イムス葛飾ハートセンター 麻酔科
pp.163-168
発行日 2019年9月14日
Published Date 2019/9/14
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3104200104
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症例
67歳の男性。高血圧で内服治療中。突然の胸背部痛と腹痛を自覚し,徐々に下肢の痛みが出現した。両下肢脱力を認めるようになり,救急搬送された。来院時,上肢血圧200/95mmHg,心拍数110bpm,両側大腿動脈以下は触知せず,下肢は蒼白で冷感を伴っていた。造影CT(図1)で急性大動脈解離と診断され,解離腔は上行大動脈から腹部大動脈までに及ぶStanford A型,左鎖骨下動脈にも解離が及んでいた。腹腔動脈分枝以下の真腔は偽腔に圧排され高度狭小化し,上腸間膜動脈,左腎動脈は薄く造影されていたが,右腎動脈は造影されず,さらに腎動脈下で真腔は完全閉塞し,同部以下の大動脈は造影されなかった。以上の診断により,弓部大動脈全置換術の緊急手術が決定された。
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