別冊秋号 血圧
18 病態から見る血圧—高血圧と動脈硬化
辛島 裕士
1
1九州大学大学院医学研究院 麻酔・蘇生学分野
pp.107-112
発行日 2019年9月14日
Published Date 2019/9/14
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3104200095
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症例
75歳の男性。身長172cm,体重84kg。50歳頃より高血圧と診断され,カルシウム拮抗薬とアンギオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)を内服している。今回,上腹部不快感を主訴に来院したところ,上部内視鏡検査で胃癌と診断され,3週間後に腹腔鏡下幽門側胃切除術を行う方針となり,麻酔科術前外来を受診した。
家庭での血圧は140/70mmHg程度とのことであるが,診察時は175/85mmHg,心拍数は75回/minである。心血管イベントの既往はなく,運動耐容能は保たれている。聴診上,明らかな心雑音は聴取されない。心電図は,洞調律,左軸偏位,左室肥大の所見を認める。検査データには特記すべき所見はないが,胸部CTで大動脈の石灰化像を認める。飲酒は毎日ビール1缶(350mL)程度。1日20本50年間の喫煙歴があるが,2年前にやめている。
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