別冊秋号 血圧
28 病態から見る血圧—頸動脈狭窄症
中山 英人
1
1埼玉医科大学病院 麻酔科
pp.169-172
発行日 2019年9月14日
Published Date 2019/9/14
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3104200105
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症例
65歳の男性。身長169cm,体重78kg。高血圧,高脂血症,糖尿病で内服治療している。50歳まで喫煙していた。60歳頃から労作時にまれに息切れと左肩の痛みを伴う胸部圧迫感を感じることがあったが精査していない。最近になって頻繁にめまいを感じるようになった。また,一過性に視力が低下するように感じることがあったため,不安に思い神経内科を受診した。
受診時血圧は150/90mmHg。血液生化学検査では軽度の高脂血症が認められたが,肝腎機能に異常はなかった。安静時心電図は異常なし。運動負荷心電図検査で軽い息切れを訴えたが,ST segmentの異常はみられなかった。頭部CTで腫瘍性病変はみられず,低吸収域もみられなかった。
症状が改善せず検査入院した。MRA(磁気共鳴血管造影)で右内頸動脈の狭窄が疑われたため脳外科に転科した。血管造影の結果,右内頸動脈に70%の狭窄を認めた。左内頸動脈の狭窄は有意ではなかった。エコーによる可動性プラークの捕捉はなかった。Willis動脈輪は開存していた。症状の進行が認められたことから,全身麻酔下に右頸動脈内膜剝離術(CEA)が予定された。
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