別冊春号 2018のシェヘラザードたち
第二十三夜 Connecting the dots
宮津 光範
1
1あいち小児保健医療総合センター 麻酔科
pp.147-152
発行日 2018年4月18日
Published Date 2018/4/18
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3104200023
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麻酔科医歴=医師歴である旧世代の麻酔科医。医師5年目に経験したある出来事をきっかけに小児を専門にしようと決意し,7年目から小児専門病院へ。その後,大学病院で5年間過ごし,2年前から別の小児病院の麻酔科で責任者をしている。その“ある出来事”を中心に話を進める。
現在の臨床研修制度が開始される以前,医学部の学生の多くは,学生のうちに将来専門とする診療科を決め,卒業と同時に大学の医局に直接入局していた。私もみなと同じく故郷にある大学の医局に入局し,麻酔科医になるための研修を始めた。私が選んだ医局は,手術麻酔だけでなく,それと同じくらいの比率で救急・ICU業務を行うことが特徴であった。
2年間の研修のあとは,3年目から関連病院に異動することになっていた。同期同士で行ったくじ引きにより,私は救命救急センターを併設した,地域の基幹施設となる一般病院に異動することになった。異動先の病院でも臨床スタイルは基本的に同じで,手術麻酔だけではなくICUもやっていた。麻酔科医チームの手による,いわゆるclosedシステムでの運営であった。ICU当番の日は三次救急当番も兼任した。今考えると恐ろしい話なのだが,3年目で赴任してすぐの5月からICU当直を1人でやっていた。もちろん,困ったらすぐに麻酔科部長(A部長とする)に電話で相談することができる環境であったが。そのような生活を2年続けた結果,自分でできることも増え,ちょっとした自信がついてきた頃,あの“出来事”は起きた。
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