Japanese
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外科の焦点
ペインクリニックによる診断
Diagnostic significance in pain clinic
兵頭 正義
1
HYÓDÓ Masayoshi
1
1大阪医科大学麻酔科
pp.1323-1330
発行日 1969年10月20日
Published Date 1969/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407204950
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はじめに
ペインクリニックは,ときどきとんでもない誤解を受けることがある.痛みだけとめて病気の本質を見失なうことにならないかということである.実は,そこで行なわれる処置の半分は,診断的な意義で利用されているといつてよい.痛みがどこから由来したものか,機能的な痛みか器質的な痛みか,手術の対象になりうるかどうか,はては痛みがはたして実際に存在するものかどうか,そういうことがペインクリニック的処置を行なうことによつて判明することが非常に多いのである.そもそも痛みとは,疾患の有無あるいは軽重を示す貴重な警告反応である.多くの疾患はまず疼痛をもつて始まる.これをもし中枢性に作用する麻薬のような鎮痛剤で持続的に止めてしまつたら,決定的な障害を受けるまで病状は進行し続けるかもしれない.従つてこのような鎮痛処置は通常,疾患の診断と予後を見極めた上で,本当の対症療法として用いられている.一方,ここでいうペインクリニック的処置というのは,痛みの性格をうまく把握して,逆に病気の診断や予後の判定に役立てようとするものである.これはあたかも柔道で,相手の剛力を巧みに利用することに似ている.従つて臨床医がうまくこれを用いれば,日常の診察に益するところははなはだ大きい.
以下著者の最近の経験から,実例をあげてその具体的な応用方法につき解説する.
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