別冊春号 2018のシェヘラザードたち
第五夜 ラリマは信用できない?—信用できないのは自分の麻酔だ
金 史信
1
1市立池田病院 麻酔科
pp.29-35
発行日 2018年4月18日
Published Date 2018/4/18
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3104200005
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しまった! 誤嚥だ…
“ゲボッ,ゴホッ!!”
音のするほうを振り返ると,薄い緑色の液体が呼吸回路の中でうごめいている。
“ヤバい!”
とっさにラリンジアルマスク(ラリマ)を抜き,急いで口の中を吸引した。
「Spo2は?」
「99です!」
看護師が不安そうな顔でこちらを見た。
「ラリマはトラブルが多い」
「ラリマは信用できない」
「ラリマなんて必要ない」
以前にラリマを好まない複数の麻酔科医から浴びせられた数々の言葉が思い浮かぶ。ラリマをはじめとする声門上器具(supra glottic airway-devices:SGA)のマニアを自負しているこの私が,まさかラリマで誤嚥を起こすとは…。患者は大丈夫だろうか? 誤嚥は麻酔関連偶発症で最も致死率の高い合併症の1つである。
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