特集 ホスピタリストのための栄養療法
Part 3 入院編:急性期からの栄養療法各論
9.心不全における栄養療法:急性心不全と慢性心不全,入院から外来まで—ステージの進行で求められるギアチェンジ
鈴木 規雄
1
Norio SUZUKI
1
1聖マリアンナ医科大学東横病院 心臓病センター
pp.683-691
発行日 2024年5月1日
Published Date 2024/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3103901188
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日本の心不全の診療ガイドラインは,もともとは急性心筋梗塞をはじめとする急性心疾患により急激な心機能低下をきたす「急性心不全」と,慢性的に心不全の状態が続く「慢性心不全」に分けられていた。しかし,実際には急性心不全を初回の心不全発症イベントとして迎えるのみならず,慢性心不全の急性増悪により急性心不全に陥る場合も多く,急性期から慢性期においてシームレスな診療が必要である。この考え方から,『急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)』(以下,「心不全診療ガイドライン」)として改訂された経緯がある1)。
心不全は進行性の症候群であり,リスク段階から発症,進行までを一連の経過ととらえることが重要であり,日本のガイドラインでもACC*1/AHA*2が提唱するステージ分類2)を考慮した診療が推奨されている(図1)。
すなわち,心不全における治療目標は,①心不全ステージ=心不全の発症前後,②心不全発症後の急性期と慢性期=心不全の症状や状態,によってそれぞれ異なる。当然ながら心不全に対する栄養療法においても同様であり,適切なアウトカム設定や改善をはかるためには,これらを意識した取り組みが前提となる。
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