特集 ホスピタリストのための栄養療法
Part 2 入院編:栄養療法総論
5.入院中の栄養療法総論:②目標栄養投与量—大事なのは基準の設定と根拠をもった算出
工藤 雄洋
1
Takahiro KUDO
1
1済生会横浜市東部病院 栄養部
pp.643-648
発行日 2024年5月1日
Published Date 2024/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3103901182
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私たちヒトが生きていくためには,活動するために必要なエネルギーや,身体の構成成分となる栄養素を外部から食物として取り入れる必要がある。ヒトの身体は,外部から取り入れた食物を胃や腸などの消化管で消化・吸収して身体を作り,生命活動を維持している。つまり,食物を取り入れることができなければ,ヒトは生きていくことが難しくなる。
では,食物ならば何でもよいのだろうか? ヒトが健康で生きていくためには,ある程度の栄養素が必要となる。そのバランスを考え,必要な量を取り入れることで健康が維持できる。
自身である程度食物を選択でき,好きなものを好きなときに摂取できる環境であれば,通常は本人の自己責任で健康をコントロールすることになるが,入院中という特殊な環境では,食物の摂取有無やその内容,量をコントロールするのは他者,つまり我々医療従事者になる。そのコントロール次第では,活動力や免疫力,ストレスへの抵抗力などの低下から,感染症などの合併症を引き起こす可能性もある。医師や管理栄養士をはじめとした医療従事者は,入院患者の健康を左右しているという重責を常に意識し,「食」を通じて患者の「命」と向き合う必要があるということを認識すべきである。
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