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日本人女性における妊娠中の至適体重増加量を,妊娠前Body Mass Index(BMI)別に推定し,厚労省「健やか親子21」および米国医学研究所(The Institute of Medicine;IOM)での妊娠中体重増加推奨量と比較した。2005〜2011 年の周産期登録データベースに登録された初産婦104,070 名を対象とした。妊娠前BMI 17〜18.4,18.5〜19.9,20〜22.9,23〜24.9,25〜27.4(kg/m2)のそれぞれの群において,妊娠中体重増加量と妊娠転帰との関係を調べた。また,有害事象を加重加算した複合アウトカムのリスクが最低となる至適体重増加量(kg/40 週)を算出した。全てのBMI 群において,予測体重増加量が高い方がSGA 児出産リスクは低く,しかし妊娠高血圧腎症および分娩困難のリスクは高かった。早産リスクはBMI<25kg/m2ではU 字カーブを描き,予測体重増加量10〜13 kg/40 週で最もリスクが低かった。妊娠前BMI により適切な妊娠中体重増加量は大きく異なり,至適体重増加量は上述のBMI の5 つの区分で12.2 kg,10.9 kg,9.9 kg,7.7 kg,4.3 kg/40 週であった。「健やか親子21」の体重増加推奨量は,BMI 18.5 未満の妊婦においては低すぎる可能性がある。また,通常ひとくくりにされるBMI 18.5〜25 kg/m2においても,BMI により適切な妊娠中体重増加量は3 kg 以上異なるため,今後日本での推奨値を改訂する場合には,世界保健機構がアジア人での使用を提案しているBMI 23 kg/m2以上を過体重としたBMI カテゴリーを使用するなど,BMIカテゴリーの方法についての再検討が望まれる。
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