特集 ホスピタリストのための栄養療法
はじめに|疾患・高齢化にひそむ,低栄養に挑む—栄養療法を通して,一緒に日本を元気にしませんか
吉田 稔
1,2
Minoru YOSHIDA
1,2
1横須賀市立うわまち病院 集中治療部・循環器内科
2聖マリアンナ医科大学 救急医学
pp.585-589
発行日 2024年5月1日
Published Date 2024/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3103901173
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目の前の患者の低栄養を認識し,治療介入できますか?
ホスピタリストや病院で働く医療スタッフがかかわる患者のほとんどは低栄養のリスクを抱えており,避けて通れない問題となっています1)。成人低栄養の原因は,急性疾患(敗血症,熱傷,外傷),慢性疾患(臓器障害,悪性腫瘍,膠原病),社会生活環境(飢餓,摂食障害)の3つに分けられます2)。特に先進国では,高齢化もあり,疾患/炎症(急性疾患,慢性疾患)による低栄養(disease-related malnutrition:DRM)が注目されています3)。
2018年に策定された,世界初の統一した低栄養の診断基準であるGLIM(Global Leadership Initiative on Malnutrition)は,表現型基準(体重減少,BMI*1低値,筋肉量減少)と病因基準から構成されますが,病因基準の1項目に疾患/炎症が加えられています4)。つまり,疾患/炎症をもつ時点で,低栄養のリスクをもつことになります。この統一した基準での低栄養の診断が可能となり,低栄養に関する研究が国内外ともに活発に行われています。国内でもGLIM基準を用いる流れは広がりつつあり,回復期リハビリテーション病棟では,栄養評価としてGLIM基準を用いることが2024年度の診療報酬改定に組み込まれました。
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