CHECK IT UP 日常ケアを見直そう・5
ナースコール[2]—便利さの陰にひそむ落とし穴
牛込 三和子
1
,
看護ケア再検討グループ
1東京看護学セミナー
pp.492-493
発行日 1982年5月1日
Published Date 1982/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661919541
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ナースコールは看護婦の動線を短くしてくれる,つまり働く側の労働の合理化のために導入されたという側面が強い.そして,現在看護婦にとってなくてはならぬ器械としてその位置を占めている.しかし,その便利さに私たちはあまりにも慣れすぎてしまって,ナースコールに頼りすぎて仕事をしていたり,またナースコールに無神経になっている,ということがないだろうか? その陰で患者につらい思いをさせている実態を示すエピソードがいくつかある.
ナースコールを押した後,インターホンに出た看護婦の声を聞いて,‘アッ,すぐ来るよ’とか,‘ああ,もう来ないね’と言うおばあちゃんがいて,それがまた実に的を射ており,その通り,すぐ来たり来なかったりするという.実はこのおばあちゃんは目の見えない人でそのためか耳が敏感でコールの応答に出た看護婦の声を鋭く聞き分けて,それが誰かを直ちに知り,今までの経験から,来るか来ないかを判断していたのである.同室の他の患者たちはそのことをよく知っているので,自分がコールして‘じゃ,行きますから’という返答があっても,おばあちゃんに‘どう?’とたずねる.彼女が‘すぐ来るよ’と言うと安心し,‘来ない’と言うと不安になるという
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