FOR STUDENTS
文学にひそむ魅力
長谷川 泉
1
1学習院大学
pp.64-67
発行日 1963年7月1日
Published Date 1963/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661911977
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1.文学とは何かに答えられる人は少い
私たちの周囲にはなんと,文学少女や文学青年が多いことか。そしてまた,見渡してみると毎日の新聞にしても,雑誌にしても,テレビにしてもラジオにしても,文学の香りのするものが,なんど氾濫していることであろう。
近頃は,大学の国文科でも仏文科でも,女子学生が多くなって来ている。科がパートタイムで講義をしている学習院大学の国文科でも,年々女子学生がふえる一方である。さる大学教授が,女子学生亡国論をとなえて,大いに文学科の女子学生ににらまれたという話はあまりにも有名である。女子学生亡国論は,大学の一般論ではない。ことは,文学科に関する話である。文学は,どうも女性に魅力があるようである。いや,ほんとうは,どうなのかわからないが,大学を出るのに,文学科をえらぶということがアクセサリーになっているのかもしれない。あるいは,真剣な思索の結果女子学生が成績優秀で,男子学生を駆逐して堂々と男子学生り席を奪ったというのであろうか。それならば,大いに慶賀すべきことと思うのだが。
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