特集 病棟管理
Part 1 病棟で働く医師が身につけるべき基本姿勢
【コラム①】日々の学習を助ける情報管理—忙しい日常のなかでも継続して学ぶ“Point-of-Care Search”のために
有好 信博
1
Nobuhiro ARIYOSHI
1
1Hospitalist Program, The Queen's Medical Center
pp.644-647
発行日 2020年12月1日
Published Date 2020/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3103900830
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医師は日常診療のなかで,多くの臨床的疑問(Clinical Question)に答えなければならない。Elyら1)の研究では,米国の家庭医が10人患者をみるごとに,約3つの臨床的疑問に出会うことが示された。しかしこれらの臨床的疑問の多くは,その場で解決されることはなく,たとえ医師がその場で答えを探す努力をしたとしても,検索に平均して2分もかけることがなかった。Del Fiolら2)のシステマチックレビューによると,医療従事者は,2人の患者をみるごとに1つの臨床的疑問に遭遇し,そのうち「約半分」は答えを検索することさえされなかった。これらの研究から,多くの臨床的疑問は,解決の努力さえ行われていないということがうかがえる。
遭遇した臨床的疑問を未解決のままにしておくと,自分の成長を妨げるどころか,患者にとっても大きな不利益になる。臨床的疑問の多くは,時間をかけて調べれば解決する。しかし,前述の研究からいえるように,いかに「時間をかけず効率的に適切な情報をその場で収集するか(Point-of-Care Search)」ということが,忙しい日常のなかでも継続して学んでいくために重要だとわかる。
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