特集 アレルギー
【総論】
1.アレルギーの基礎研究—遺伝要因,環境要因を解明する知見の臨床応用が期待される
井上 なつき
1,2
,
廣田 朝光
1
,
玉利 真由美
1
Natsuki INOUE
1,2
,
Tomomitsu HIROTA
1
,
Mayumi TAMARI
1
1東京慈恵会医科大学 総合医科学研究センター 分子遺伝学研究部
2東邦大学医療センター大橋病院 耳鼻咽喉科
pp.3-7
発行日 2020年3月1日
Published Date 2020/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3103900745
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アレルギー疾患は近年増加傾向であるが,その発症には,遺伝要因と環境要因が複雑にかかわっており,それらを解明する研究が進んでいる。
疾患のかかりやすさや検査値などの形質ごとに,遺伝バリアント*1の頻度を網羅的に調べるゲノムワイド関連解析genome wide association study(GWAS)も,世界で広く行われており,アレルギー関連疾患においても多数の関連領域が同定されている。一方,エピジェネティクスepigeneticsにより,ゲノム領域の機能制御機構が明らかとなり,両者を統合した病態の理解が進んでいる。
また,環境要因との境界である上皮バリアの免疫学的な知見,マイクロバイオームmicrobiomeの知見などが蓄積され,アレルギーの新たな予防法や治療法の開発が期待されている。
本稿では,最近のアレルギー研究のなかから,それらに関連する知見について概説する。
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