特集 総合内科のための集中治療
Part 2:システムごとに診る
9.消化器—重症患者の栄養療法とその病態別のポイント
後藤 安宣
1
Yasunobu GOTO
1
1市立奈良病院 集中治療部
pp.319-332
発行日 2019年6月1日
Published Date 2019/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3103900677
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栄養療法とその周辺領域に関して,近年多角的な視点で研究が数多く報告されている。“If the gut works, use it!”の表現に集約されているように,重症患者の栄養療法は経腸栄養(EN*1)が主役であり,臨床でも広く実践されている。しかし,どれくらいの栄養量を,どの時期から,何を目標に行えばよいのか? については明確な解答は得られてはいない。残念なことに,ENを行うことが死亡率の改善に寄与するという研究結果はない。一方でENのメリットは期待しているほど大きいものではなく,静脈栄養(PN*2)を上手に実践することで,今まで懸念されていた合併症などに差はない,つまりPNが見直され始めているような潮流も,新しい研究結果1, 2)からは感じられる。
栄養療法の有効性に関するエビデンスが乏しいとしても,overfeedingや合併症を避け,さらなる栄養不良を最小限にとどめることは重症患者に対する治療の一環として実践すべきである3)。本稿では重症急性膵炎の症例をもとにポイントをまとめる。
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