Japanese
English
特集 消化器外科における経腸栄養の意義と役割
重症救急患者における早期経腸栄養法
Early enteral feeding in critically ill patients
小谷 穣治
1
,
橋本 篤徳
1
,
寺嶋 真理子
1
,
山田 大平
1
,
上田 敬博
1
Joji KOTANI
1
1兵庫医科大学救急・災害医学講座,救命救急センター
キーワード:
重症患者
,
早期経腸栄養
,
免疫修飾栄養素
,
経鼻内視鏡
,
下痢
Keyword:
重症患者
,
早期経腸栄養
,
免疫修飾栄養素
,
経鼻内視鏡
,
下痢
pp.1383-1395
発行日 2009年10月20日
Published Date 2009/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407102722
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要旨:重症病態では生体のエネルギー代謝が亢進するが,急性期にはむしろunderfeedingであることが病態の改善に有効である.重症病態では静脈栄養に比べ経腸栄養が感染性合併症の軽減やICU・入院日数の軽減の点で有効であるが,最終転機を改善した報告は少ない.しかし重症病態とは様々な病態を含んでいるので,今後,病態別に検証すべきである.
経腸栄養の早期導入は,栄養投与をしない場合に比べてむしろ病態を悪化させるとの報告が続いたが,急性期に消費カロリーに見合う栄養量を投与したことがその理由であった可能性がある.事実,栄養管理の条件をつけない後ろ向き研究では経腸栄養が静脈栄養より生存率を改善している.一方で,近年,アルギニンが外傷症例,ω-3系多価不飽和脂肪酸がARDSの病態を改善するなど,各種の免疫栄養素が重症病態の改善に著しい効果を持つ報告が相次ぎ,これらの多くが経腸的に投与される点で経腸栄養法・剤が注目されている.また,アルギニンは重症感染症では逆に予後を悪化させるなど,重症病態の中でも病態が異なれば効果も異なることも明らかにされ,病態別に免疫栄養素を使い分ける時代がやってきたといえる.
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