特集 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のすべて
Ⅱ.病態と診断
発症病態と重症化メカニズム—10のポイント
小倉 高志
1
,
織田 恒幸
1
,
石井 誠
2
,
石田 正之
3
1神奈川県立循環器呼吸器病センター呼吸器内科
2名古屋大学大学院医学系研究科呼吸器内科学
3近森病院呼吸器内科
pp.351-361
発行日 2022年8月1日
Published Date 2022/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1437200567
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Point
・COVID-19の重症度分類は治療選択に有用であるが,呼吸不全の評価による分類であり,高齢者のCOVID-19患者では必ずしも予後を予測するものではないことを銘記する.
・重症化に,SARS-CoV-2感染初期のⅠ型IFN応答の減弱が関与している.
・通常株やデルタ株における重症化には,サイトカイン放出による免疫亢進状態が関係しており,ステロイドや免疫調整剤の迅速な併用療法が有用である.
・オミクロン株は肺よりも気管支で増殖しており,肺に分布の多いTMPRSS2依存性経路ではなくカテプシン依存性経路で細胞に侵入するため,重症化が少ないと推定されている.
・重症化因子のある患者においては,早期診断と抗ウイルス薬・中和抗体薬の早期治療が今後も重要になる.また予防投与が可能な薬剤の開発が期待される.
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