特集 総合内科のための集中治療
Part 2:システムごとに診る
4.神経(鎮痛・鎮静・せん妄)—鎮痛は究極の患者中心アウトカムの1つであり,医療従事者が行うべきマナーの1つ
安田 英人
1
Hideto YASUDA
1
1亀田総合病院 集中治療科
pp.219-233
発行日 2019年6月1日
Published Date 2019/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3103900667
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集中治療を受けるような重症患者は,人工呼吸器や体外循環での管理が必要であったり,あるいは,てんかん重積発作をもつなど,“鎮静”が望ましいとされる状況に常にある。重症患者を管理する際は,“鎮静”は切っても切り離すことができないといってもよいだろう。しかし,集中治療を専門とする医療従事者にとっても,“鎮静”に関してベストな判断を下すことは容易ではないのである。
現に“鎮静”そして“鎮痛”,さらには“せん妄”の話題は,2013年に改訂されたPADガイドライン1)が発表された頃から,急速に集中治療の世界に広がったといっても過言ではない。その前身であるガイドライン2)は2002年に発表されてはいたが,広く浸透することはなかった。「とりあえず鎮静」という考えが蔓延していた時代であり,「鎮痛をせずに鎮静を行う」「不穏患者は鎮静する」という考えを,多くの医療従事者がもっていたことは否めない。しかし,2013年に灯ったPADへの関心により,鎮痛first,せん妄予防への理解が深まり,重症患者管理のケアは進化を遂げた。そして2018年には,PADISガイドライン3)として大きくアップデートされた。この領域は,ことさら関心の高まっている分野であり,集中治療を専門としない医療従事者にも理解を深めていただきたい。
本稿では,症例を提示し,PADISガイドラインを中心に,鎮痛・鎮静・せん妄の概要について,CQに答える形で解説する。
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