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本邦におけるNeurosurgical Intensive Care Unit (NSICU)では,主に脳神経外科医が救急患者の対応や緊急手術に追われ多忙ななか,合間を縫って管理を行っていることが多い。神経集中治療医neuro intensivistの育成制度が確立していない本邦では,NSICUにおいて良質な医療を提供していくためには集中治療医,看護師,理学療法士,呼吸療法士を交えた多職種チーム医療multidisciplinary team careを行っていくことが大切である。
集中治療における鎮痛と鎮静は近年さまざまな知見が蓄積され,深い鎮静は人工呼吸器使用期間,ICU滞在期間延長1),人工呼吸器関連肺炎ventilator-associated pneumonia(VAP)のリスクの上昇2)などと関連するとの報告があり,プロトコルに沿って適切な鎮痛のもと,できるだけ鎮静を浅く維持する方法が主流となってきた3~6)。しかしながら,NSICUでの鎮痛や鎮静に関する研究は少なく,エビデンスは,確立されていない5)。
本稿では2013年にSociety of Critical Care Medicine (SCCM)によって発表された鎮痛・鎮静・譫妄の管理に関するガイドライン3)を中心に,できるだけNSICUに特化したデータを交えてそれぞれの評価,治療について文献的考察をしていく。
Summary
●NSICUにおける鎮痛,鎮静,譫妄の評価スケールとして推奨されるものはなく,ICUにおいて有用とされるスケールを症例ごとに適応を考える必要がある。
●オピオイドは頭蓋内圧の亢進と体血圧の低下をきたすため,脳灌流圧低下に注意が必要である。
●鎮静はベンゾジアゼピンの使用を避けた浅い鎮静が主流であり,できるだけ鎮静薬を使用しないanalgosedationが有用な可能性が示唆される。
●NSICUにおいて,適切な鎮静が行われている場合のdaily sedation interruptionの有用性は確立していないが,早期リハビリテーションを意図した鎮静に関して研究の蓄積が待たれる。
●譫妄に対する予防的薬物投与は推奨されておらず,治療としてのクエチアピンは譫妄期間を短縮する可能性が示唆される。
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