特集 せん妄であわてない
せん妄のアセスメントとケア
III.鎮静・鎮痛
伊藤 有美
1
1杏林大学医学部付属病院
pp.34-37
発行日 2010年10月1日
Published Date 2010/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661101698
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せん妄と鎮静
人工呼吸中の患者は、人工気道や人工呼吸に関連する疼痛、昼夜を問わないケア、コミュニケーションの遮断など、多岐にわたるストレスを受けています。クリティカルケア看護の対象となる患者は、すでに生体侵襲を受けており、このような人工呼吸に伴うさらなる苦痛が加わることによって、心身ともにストレスフルな状態に陥ります。交感神経賦活化によって、生体のストレス反応が助長されるのはもちろんのこと、精神的にも不安をもたらし、ストレスを増強させます。そして、これらのストレスは、患者の精神状態に影響をおよぼし、せん妄をも引き起こしてしまいます。(前項で述べられている、せん妄の促進因子を参照し、「精神的社会的ストレス」が含まれていることに注目してください。)
したがって、患者の苦痛をできる限りなくし、新たなストレスを加えないために、人工呼吸中の鎮静は欠くことができない治療の一環となっています。
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