特集 心不全
Part 3:ICU,病棟での心不全管理
10.Case 5:右室機能と右心不全をきたす疾患—構造や機能をふまえて生理学的特徴,臨床的特徴を知ろう
猪原 拓
1
Taku INOHARA
1
1Duke Clinical Research Institute
pp.955-962
発行日 2018年12月1日
Published Date 2018/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3103900622
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心機能・心不全を考えるとき,左心機能・左心不全に焦点が絞られることがほとんどであり,右心機能・右心不全は多くの場合,軽視される傾向にある。これは,左心不全が肺うっ血により症状が急激に進行し,致死的な経過をたどるのに対して,浮腫や腹部膨満感などの右心不全症状は緩徐に進行するという臨床的特徴にも起因しているものと考えられる。また,右室は左室と比較し,複雑な構造や生理学的特徴を有していることが敬遠されているとも考えられる。しかしながら,近年の肺高血圧に対する薬物療法の進歩,心エコーおよび心臓MRIを中心とした画像診断技術の進化などにより,右心機能・右心不全に対する関心が高まってきている。
本稿では,右室の解剖および機能について整理し,右心不全の病態生理,鑑別疾患,症状,所見および治療法に関して概説する。
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