特集 感染症
6.抗菌薬が効かないときのトラブルシューティング—感染症診療の原則を押さえる
有馬 丈洋
1
,
本郷 偉元
1
Takehiro ARIMA
1
,
Igen HONGO
1
1武蔵野赤十字病院 感染症科
pp.219-225
発行日 2013年12月1日
Published Date 2013/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3103900429
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治療がうまくいっているならよいが,抗菌薬投与を行っているにもかかわらず,状態が改善しない,特に熱が下がらない場合,どのように対処すればよいだろうか。この際にまず重要になってくるのが,感染症診療の原則に従っているかどうか,ということである。つまり,抗菌薬の投与を行う際に,「どんな患者の,どの部位/臓器に,どんな微生物が」感染を起こしているかを想定して,治療を開始しているか1),ということである。具体的には,患者の基礎疾患などにより改善しないのではないか,想定している感染巣が間違っているのではないか,もしくは感染巣に対する直接的アプローチが必要なのではないか,想定している起因微生物が間違っているのではないか,ということである。したがって,この原則から外れて抗菌薬投与を行っていると,経過が思わしくない状況となった場合,適切な臨床判断は困難になってしまう。以下,実際の症例を示し,抗菌薬が効かないときの対処について述べる(投与量,投与間隔については標準に従っていることを前提とする)。
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