iatrosの壺
薬は“効かせる”もの
藤枝 一雄
1
1北水会病院内科
pp.229
発行日 1996年11月30日
Published Date 1996/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402905558
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かつて私の研修医時代には,喘息といえばほとんど条件反射的に「テオフィリン血中濃度の適正化」をまず考えたものだが,その後新しい喘息治療のガイドラインが発表されたり,吸入ステロイド薬の効用が強調されてきて,当時に比べればテオフィリン製剤もやや影が薄くなって,よい意味での再評価の対象になっている.
Aさんは,50代の女性で,30年来の気管支喘息で治療をうけていた.そのAさんがある時,私の外来診察を受けに来た.外来カルテを繰ってみると,受診日の日付印が3カ月前からただの1日の欠落もないのでは?と見えるほどに続けて押されており,さらには同じ日付印が続いていたりするのである.最初は,「おや,妙だな」と感じたけれど,一瞬後に「あっ,この患者は毎日病院へ来ているのだ!」と思いいたり,改めてその患者の顔を見直してしまった.
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