特集 院内感染の“なぜ”が知りたい
抗菌薬がなぜ効き,なぜ効かなくなるのか
佐竹 幸子
1
1群馬大学医学部保健学科
pp.124-127
発行日 1998年2月1日
Published Date 1998/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661905522
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はじめに
なぜ抗菌薬は感染症に効くのか.抗菌薬感受性試験結果が「R」または「-」だった場合,その抗菌薬の常用投与量・投与スケジュールでは臨床効果が期待できないことを意味しています.そして,このような菌を耐性菌と言います.では,なぜ耐性菌に抗菌薬が効かないのか.「細菌検査結果報告書」に書かれているすべての抗菌薬が「R」または「-」だった場合は,その感染症に有効な抗菌薬がないということであり,抗菌薬がなかった時代に戻ることを意味しています.このような重大な事態は,抗菌薬の不適切な使用によって引き起こされると言われています.では,抗菌薬を乱用すると,なぜ耐性菌が出現するのか….これらの「なぜ」がわかると,このまま抗菌薬の乱用を続けた場合,現在使用可能なすべての抗菌薬が効かない耐性菌が出現するのは時間の問題であることが納得できるでしょう.
現在,100種類以上の抗菌薬が使用可能ですが,病院で実際に使用されている抗菌薬の多くはペニシリンの仲間のβ-ラクタム系抗菌薬(ペニシリン系,セフェム系,カルバペネム系など)なので,上記の「なぜ」に対してペニシリン系の抗菌薬を例にして解説します.
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