特集 消化管疾患
【コラム】腹部エコー—CT前にまずプローブ:確実に評価すべき急性虫垂炎,急性胆囊炎,腸閉塞,尿管結石(水腎症)
国崎 正造
1
,
窪田 忠夫
1
Shozo KUNIZAKI
1
,
Tadao KUBOTA
1
1東京ベイ・浦安市川医療センター 外科
pp.681-686
発行日 2014年9月1日
Published Date 2014/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3103900331
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日本は世界一のCT大国であり,対人口比では欧州諸国の5〜10倍のCTを保有している。当然撮影数も多く,被曝の問題が指摘されている1, 2)。腹痛患者に対しても初めから腹部CTを撮影するケースが多く,それだけに超音波検査をどのように活用するかは腹部急性疾患では重要なテーマといえる。
オランダにおける1021人の非外傷性腹痛患者の研究3)では,準緊急の病態を検出する感度はCT単独のほうが超音波単独よりも有意に高かった(89% vs. 70%)が,最初に超音波を行い,所見が陰性か診断がはっきりしない場合にCTを施行するほうが,さらに感度は上昇した(94%)。また,これにより,CT撮影症例が全体の49%に抑えられ,放射線被曝量も少なかった。ここに示されたように,腹痛患者にルーチンに腹部CTを撮影するのではなく,対象症例の年齢や性別,体型,病態,アレルギーなどの情報を十分に吟味し,まずは低侵襲で放射線被曝がない超音波検査を上手に活用する診療姿勢が重要であると考えられる。
以下,いくつかの疾患について,腹部超音波所見と診断のポイントを述べる。
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